2019年06月29日

紙には「目」があるんです

紙(洋紙)には繊維の流れの向きがあり、「紙目」(かみめ)と呼ばれています。
紙の長辺に沿って平行方向に繊維が流れている紙を縦目(T目・タテ目)の紙、紙の短辺に沿って平行方向に繊維が流れている紙を横目(Y目・ヨコ目)の紙と言います。
この流れの方向によって、ペーパークラフト製作時に大きく影響する場合があります。

紙目について.jpg



これは紙を製造する段階で溶かしたパルプ(紙の原料)を機械で平らに流し、それを固めて紙にする為、パルプが流れる方向に沿って紙目が出来てしまうのです。

筒状のパーツを作る時など紙を曲げるときに紙目の影響が出やすいです。紙目に沿って曲げるとキレイに曲がりますが、紙目に逆らって曲げようとすると曲がりにくいのです。

筒の紙目.jpg

また紙を折る時も紙目の影響が出やすいです。紙目の流れに沿って折るとキレイに折れやすく、流れに逆らうと折れにくくなります。これを避けるためにも、展開図の折り線は鉄筆や空のボールペンなどを使って、予めなぞっておく事が重要です。
紙目を折る.jpg

紙目の調べ方は、流れ目が縦目の場合は、寸法を210×297mmの様に小さい方の数字を先に表記します。
また紙は紙目の方向に沿って破れやすいので、紙の端を少し破いてみると調べることができます。

紙目の確認方法.jpg
posted by 紙模型工房:久嶋(くしま) at 08:02| Comment(3) | TrackBack(0) | 雑記

2019年06月28日

現物と模型の違いについて

ペーパークラフトに限らず、模型は実物に正確な形状であれば正しいという事にはなりません。
ホビー目的の模型は、その特徴が強調されている方が楽しく見れるからなのです。

例えば実際の艦船を実物を肉眼で見る場合は下から見上げる形になる事が多く、全体が見えない上に遠近法による歪みが大きくなります。
それが模型の場合は主に上から見下ろす視点になる事が多く、大きさも小さいので全体がよく見え歪みも小さくなります。

この事により実物では強調されて見えた細かな部分が、模型化されると全体に埋もれてのっぺりとした印象となってしまいがちです。つまり、形状を正確に再現しただけでは特徴的な部分の印象が殺されてしまい、全体的につまらないものになってしまいがちなのです。

そのため模型化に当たり特徴だと思われる部分を少しオーバー目にデフォルメして強調し、より実物に近い印象に近づける必要があるのです。

模型のデフォルメ.jpg

このイージス艦「きりしま」の例では、フェーズドアレイレーダーの部分を忠実に再現した場合は、ほとんど紙の厚さ程度の厚みしか無いのですが、これの立体を強調してしっかりと厚みをもたせています。他にも主砲等の艤装を若干大きく造形したり、艦橋を高めに作ったりしています。

実は形だけでなく色も同様に、実物の色をそのまま模型に着色した場合、やけに濃い色に見えてしまいます。
これは実物と模型では空間距離が大きく違うために、空気の層による光の拡散で、彩度の変化が発生するからなのです。

山の距離感.jpg

この写真でも遠くの山ほど色が薄く見えているのがお分かり頂けるかと思います。
模型の場合はここまで薄くなる事はありませんが、模型をカラーチップ通りに着色すると濃い色に見えてしまう理由はこれなのです。良い悪いではなく、こういう理屈もあるので色がカラーチップと違うから間違いというわけではないという事のご紹介でした。

ただし1/1スケールの模型の場合は同じ形状、同じ色にすべきなのは当然ですね(笑)。

posted by 紙模型工房:久嶋(くしま) at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記

2019年06月25日

最後の一辺問題

ペーパークラフトの設計と組み立て時の課題のひとつに、「サイコロ構造最後の一片問題」(勝手に命名)があります。
要するにサイコロのような多面体の展開図を組み立てるときに、最後に接着する辺をどのように接着するのがベストなのか、という事になります。
(※展開図を接着して組み立てる方式のペーパークラフトの場合)
サイコロ問題1.jpg


接着剤の塗布されたのりしろは指先やピンセット等でしばらく挟んで圧迫しておくことで、紙の内部まで接着剤が浸透して固まる事により、しっかりと接着されます。逆に、接着剤を塗布したのりしろを片側から軽く押さえただけでは接着剤の浸透が少なくなり、接着面も小さくなってしまい接着力が弱くなってしまいます。
接着の仕組み.jpg
この問題に対する解決方法のいくつかを、下記にご紹介します。


■構造的な対応(作家が設計)

○最後の辺に穴を開けておき、その穴を通してピンセットなどでのりしろを挟んで圧迫し、乾燥後に辺に空いた穴を別パーツで塞ぐ方法。
サイコロ問題2.jpg
これは私が主に採用している方法です。ただし穴を塞ぐためのパーツの厚みが僅かですが プラスされてしまうという欠点もあります。


○のりしろを押さえる為のフレームを用意しておく方法。
サイコロ問題3.jpg
外観に影響しないスマートな方法です。ただし、パーツの点数と手間が増えるのが欠点です。


■組立時の対応

○展開図を厚紙でプリントする方法。
厚紙自体の張りを利用する方法です。薄い紙に比べのりしろが強いので、外側から押さえるだけでも圧力がかかり、しっかり接着できます。ただし、紙の厚さが展開図の設計時の想定外なので、全体の歪みに通じる可能性があります。


○構造物の中に詰め物をする方法。
サイコロ問題4.jpg
とてもシンプルな方法ですが効果的です。ティッシュペーパーなどを中に詰めておき、その反発力を利用して上から押さえて接着できます。これは擬似的なフレーム構造とも言えます。また構造物の強度が増しますので、凹んだまま戻らなくなるという事故が減少します。ただし、多少ですが完成時の重量が増します。



他にも様々な対処法があるかと思います。造形にベストな方法を常に模索し、ご提供していくのがペーパークラフト作家の使命のひとつであると思っています。
posted by 紙模型工房:久嶋(くしま) at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記

2015年01月05日

ペーパークラフトの歴史

西洋では18世紀頃に建物や船等の建造物を中心に作られ、日本では江戸時代に「立版古」(たてばんこ)という、立体絵で風景などを再現したジオラマや、神輿(みこし)のミニチュア模型等が作られています。

明治時代以降には教材としても使用され、科学雑誌の付録などで目にした方も多いのではないでしょうか。

当時は立体製作と平面への展開は全て手作業によるものでしたが、現在では3Dソフトやドローソフトなどを使用したコンピューターによる設計がほとんどとなり、設計のスピード、精度、完成度なども格段に向上しています。


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2014年12月23日

3Dデータの設計について

私がペーパークラフトを制作する場合、まず3Dデータを作りそれを展開図にしていきます。 

ペーパークラフトだけを作って終了な場合は3Dデータもそこでお役御免です。しかし3Dデータは他にも様々な使い道があります。 

下の画像は、3Dデータをペーパークラフトの他に、立体出力機で樹脂造形した例です。これを金型にしてレジン等で量産することができるようになります。(むろん出力後の後処理と量産の為の知識と技術は必要ですが) 

他にもテクスチャを貼り込んで3DCGの基礎データにしたり、このデータをそのまま販売することも可能です。 

いずれ、一般の家庭にも3Dプリンタが普及していくことになると思います。その時に、3Dデータを制作することができ、さらにその活用を有効にできる作家とそれ以外の作家との格差はどんどん開いていくことでしょう。


1737161965_250.jpg

3Dプリンタで出力したオブジェクトは、そのままでは扱いにくい場合が多いのです。
下の写真は、粗い部分を修正して型起こしができる程度まで調整したもののサンプルです。

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posted by 紙模型工房:久嶋(くしま) at 04:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記

本場ポーランド

超精密ペーパークラフトの本場といえばヨーロッパ。中でも特に秀でているのが「ポーランド共和国」です。ポーランド製のペーパークラフト(カードモデル)は、プラモデルを遥かに凌駕する精密さですが、完成させるまで半年〜数年程度が必要です。
組立説明書もかなり大まかなので、完成時の造形を予め十分に理解している事が必要です。たしかに非常に難易度が高く、根気と器用さを要求されますが、完成した時の満足感はこの上なく大きいはずです。
ペーパークラフトという文化を成長させて頂いた功績はとても大きいと言えるでしょう。
ポーランド製品は日本でも入手可能です。「紙模型.com」(http://www.kami-mokei.com/)などで購入できます。

ちなみにポーランドは日露戦争時にロシア艦隊の情報を提供してくれたり、大戦中は暗号の解読法を指導してくれたりと、何かとお世話になっています。
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posted by 紙模型工房:久嶋(くしま) at 04:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記